「ああ、お酒が飲みたい」
この「飲酒欲求」について、質問を受けることがあります。
「さかもとさんは、もう飲酒欲求はないのですか?」
「飲酒欲求は、断酒してから、いつまであるものですか?」
断酒というのは、お酒そのものとの向き合い方だけでなく、「飲酒欲求」との向き合い方も含むものなのでしょう。
あなたの「飲酒欲求」とは、どんな感覚をもたらしますか?
「頭がお酒のことでいっぱいになるような感覚」
「のどの辺りが熱くなるような感じ」
「早く酔っぱらって、ふわぁっとなりたい気持ち」
そのときによって、「飲酒欲求」もさまざまかもしれませんが、実はこれがヒントになります。
あなたのその「飲酒欲求」を冷静に分析していきましょう。
あなたがほしいのは
「爽快感」
「安堵感」
「解放感」
どれに近いでしょうか?
「全能感」
「達成感」
「幸福感」
「充実感」
あなたが「飲酒欲求」と呼んでいる感覚をどんどん分解し、その感覚や感情にフィットする言葉を探してみてください。
一言で飲酒欲求といっても、ケースバイケースで、様々なパターンがあることに気がつくでしょう。
そして、そうやって考えることで、飲酒欲求とは少し距離が生まれているはずです。
「飲みたいときに、そんな悠長なこと、できるわけがない!」
と、思うかもしれませんが、これは決して不可能ではありません。
「ああ、私、飲みたいと思っているのね。今日はどんな感情がほしいのだろう?」
飲みたい気持ちで頭がいっぱいになってしまうイメージではなく、飲酒欲求を自分からちょっと離れたところから眺めるような感覚で、探っていくのです。
これは私の断酒セラピーでお伝えしている「マイナス感情」をもったときの気持ちの向き合い方にとても似ていて、「怒り」のコントロールにも応用できる実践的な考え方です。
アドラー心理学は、理想論ではなく、あくまでも方法論なのです。
マイナス感情や飲酒欲求を冷静に分析してみることは、飲みたい気持ちのコントロールの第1歩。
お酒をやめても、飲酒欲求や感情が揺れ動くことから私たちは逃れられません。
なぜなら、私たちは、対人関係の中で生きているため、いつもさまざまな感情をもちながら暮らしているからです。
感情と仲良くする方法を身につけない限りは、いつまでも自分の感情に翻弄され、お酒の支配に置かれたままの人生を歩んでいくことになります。
ただガマンするだけの断酒ではなく、思考を変え、感情のコントロールを知り、あなたの行動を変えていく。
あなたの未来を変えていくための方法として、アドラー心理学があるのです。