離脱症状とは? 大事なのは、その捉え方

離脱症状 寝汗 離脱症状は「財産」である
離脱症状 寝汗

「今日からお酒をやめる!」

と、強く誓ってお酒を飲まずに過ごそうとしたとたん、あなたの体に「異変」が起きることがあります。

コップを持つ手が震える、シーツがびっしょりになるくらい寝汗をかく、アルコールは抜けているはずなのに、なぜか吐き気がする、などの身体的な「離脱症状」です。

普段では、考えられないような症状が次々に出てくるので

「この寝汗、いつまで続くのかな」

「人前で手が震えたら、どうしよう」

「何か別の病気にかかっているのでは?」

と、不安になってしまいますね。

自分では、ただの酒好きだと思っていたけれど

「やっぱりアルコール依存症だったのかも」

と、気持ちが落ち込んでしまうかもしれません。

アルコールの離脱症状は、他にも、不眠からくるイライラ感、集中力の低下、また不安や焦燥感など、心にとっての不快な状態も、引き起こします。

この心身の症状は、お酒を飲むと解消できるため、耐え切れずにお酒を飲んでしまう人もいるようですが、そのような症状が現れるのは、むしろ、当然ではありませんか?

長い間の飲酒習慣で、あなたの体はアルコールが入っている方が通常運転だと、学習しているのです。

まずは、あなたの「体」に起きているのはむしろ正常な反応」だと、一旦受け入れみましょう。

私のクライアントさんたちに離脱症状をお聞きすると、みなさんそれぞれ違うどころか、毎日大量に飲んでいたのにもかかわらず、全く表れない人もいます。

「睡眠」一つとっても、「眠れない」という人もいれば、逆に「よく眠れて快適」さらには「睡眠は充分足りているのに、日中も眠くて仕方がない」という方まで、いらっしゃいます。

つまり、今あなたが経験している離脱症状は、あなた特有のもの。あなたがこの先ずっとお酒を飲まずにいるなら、その離脱症状は最初で最後の貴重な体験です。

そこで、離脱症状に悩んでいるあなたに、ぜひしてほしいことがあります。

それは、離脱症状の記録です。

書くポイントは2つ。

まず1つ目。あなたの体に現れた症状の「事実だけ」を書く。

(例)

断酒1日目は寝つきが悪かった。
0時に布団に入ったが、2時間ほどゴロゴロ。

6:00過ぎに目が覚めた。
寝汗がひどかったので、シーツを変えてもう一度寝る。
若干の吐き気。

9:30に起床するが、とても頭が重い・・・。

2つ目のポイント。

その「事実」に対して、「どう感じたのか、そしてそこから何を考えたのか」を書きます。

つまり「事実」と「認知」(見方・感じ方・考え方)を切り離すということです。

(例)

眠いけれど、ちゃんと起きてご飯が食べられるのは、二日酔いじゃないから。
あの気持ち悪さがないのはいいこと。吐き気はするけれど、吐くほどではない。
軽く食べられた。白いご飯が甘くておいしく感じた。。

寝るとき、手足の感覚がちゃんとあったのには驚いた。
こんな感覚で布団に入ったのは、子どもの頃以来。
そういえば、子どものころはこうやって毎日シラフで寝られていたんだよなぁ。懐かしい感覚。

大量の寝汗は、体の中から毒素が全部出た感じ。デトックス気分。
お酒が大量の汗で全部流れて行ったと思えば、スッキリ!

その事実をどんなふうに感じ、どう考えたのかに注目し、感情の動きに意識を向ける、ということです。

事実はいつも1つですが、それをどう解釈するのかは、体の状態と心のもちようにかなり影響を受けます

つまり、解釈は1つではないということ。

人は、物事を客観的に見ることは不可能、とアドラー心理学では考えます。

自分自身の身体症状についても、それをどう解釈するのかは、いつもあなたが決められます。

無理矢理ポジティブになる必要はありませんが、お酒を飲んでいないというだけで、きっと普段よりも調子がいいところがあるはずですよね。

また、「こんなに離脱症状が辛いなら、飲んでしまった方が楽!」と思ったら、その気持ちを素直に言葉にすること。頭の中に浮かんできたことを、どんどん書いていきましょう。

これは、お酒を飲まずに自分と向き合うためのトレーニングです。

なぜ、トレーニングが必要なのでしょうか。

あなたは往々にして、不快な心身の状態をお酒を飲むことで紛らわせて生きてきたのではありませんか。

あなたがこの先もお酒を飲まずに生きていくなら、どんなマイナス感情ともシラフで向き合っていかなくてはいけません

体を鍛えるとき、時間をかけて筋肉をつくように、心を鍛えるときも、時間が必要ですが、アルコールが完全に抜けていくと、あなたはどんどん本来の思考力を取り戻していきます

お酒の影響を受けていたあなたの見方・感じ方は、時間が経てば経つほどフラットな状態になり、お酒に支配されていた過去の自分を、事実と解釈を区別することで、より客観的に見ることができるようになります。

この記録は、変化していくあなたの成長の記録

後から見返したときには「宝物」と思えるほどの財産となり、きっと未来のあなたを勇気づけることになるでしょう。