「お酒を飲まない」ことを意味する日本語はたくさんあります。
禁酒、減酒、節酒、卒酒、不飲酒、ソバーキュリアス・・・
こんなにたくさんある理由は、お酒のやめ方がいろいろあるということなのかもしれません。
漢字からイメージをふくらませてみると、
「禁酒」は、一時的なもので、そのうち解禁する予感がします。
「減酒」は、飲む量を減らすことに重きをおいていてる感じでしょうか。
「節酒」となると、節度をもって飲みなさいよと、どことなくたしなめられている気もします。
「卒酒」には、「もうここには戻らない!」という気持ちが感じられます(そもそも入学した覚えはないのですが)。
「不飲酒」という言葉は、聞き慣れませんが、不健全、不平等、という言葉があるように「飲酒が普通の状態である」と考えることもできるかと思います。
「ソバーキュリアス」とは、「sober(シラフ)」と「curious(好奇心)」の造語で、元々の意味は、飲まない状態をお試し中の人のことだそうですが、「飲めるけど、あえて飲まない」という意味においては、私もソバーキュリアスの一人です。
いろいろな表現を見てきましたが、私はいつも「断酒」を使っています。
自分の意志でお酒と一切の関係を断ち切った、という意味で、しっくりくるのかもしれません。
「断酒」「だんしゅ」「ダンシュ」言葉の響きも、どことなく強そうです。
ところで、「断」の漢字の意味はご存じですか?
漢和辞典によると「入ってくる不要なものを断つ」という意味があります。
お酒は勝手に「入ってくる」のでなく、自分で「入れていた」ものにもかかわらず、随分と責任転嫁をするような言い方だなぁと、思わず笑ってしまいました。
でも、ここにこそ、アドラー心理学のヒントが隠れていると私は感じています。
「やめたいけど、やめられない」
「飲みたくないのに、飲んでしまう」
「お酒を注がれて、断れなくて」
誰かがあなたの口の中に、無理矢理お酒を入れるのでしょうか?
自分の意志で「お酒を飲む」ことを選んでいることを認められたら、お酒がやめられないという悩みは、よりいっそうシンプルになります。
「飲みたくないのに飲んでしまう」のではなく、「飲みたくて飲んでいる」のです。
このシンプルな事実を認めることです。
この【自己決定性】は、アドラー心理学の5大理論の一つですが、お酒に限らず、自分を変えていこうとするときに役に立つ考え方です。
「私は、どうせ変われない」
と思うことがあったとしても、それは、「変わらないと決めているだけ」と考えることで、変わらないことにメリットを感じている自分が浮き彫りになってきませんか?
アドラー心理学は、自分を変えていくために役立つ方法論です。
「変わりたい」とあなたが思うなら、ぜひその考え方を学び、実践し、あなたの人生に役立ててほしいと思います。