夜中に一人で飲むのが至福の時間
子どもたちはもう自室。
夫が寝静まったことも確認した。
一人でゆっくりお酒を飲み始めるこの瞬間からが、ようやく私の時間。
本当に仲の良い夫婦なら、他愛もない会話をしながら楽しくお酒を飲むのかもしれない。
私だって、そうなる努力をしてきたつもりだったけど、でも、夫は変わらなかったし、そういう理想は随分前にあきらめた。
一人で楽しめる趣味も見つけたけれど、どこか虚しい。
一緒に暮らしているのに、夫とは、本音でわかりあえている気がしない。
気がつくと、今日もまた、かなりお酒が進んでしまっている・・・。
いつも心の根底にある満たされない思い
こうなると、お酒はなかなか手放せないアイテムになってしまいますね。
わかりあえない虚しさを感じながらも、夫婦を続けていかなければならない。お酒を飲んだところで、明日の朝が普通にやってくることも、どんよりとした疲れがのしかかることも重々承知でお酒を手にしてしまう。
仕事に子育てに忙しい中で、お互いの本音を伝え合うことは避けてきてしまったようです。
わかりあえないまま、このままずっと暮らしていくのかと考えると、満たされない思いがいつも心の根底に沈んでいるように感じますね。
その満たされない思いと向き合うことを避けるために、お酒を飲んでいたのかもしれません。
満たされていない思いはどんなもの?
あなたの心の底にある満たされてない思いというのは、具体的にどんなことでしょうか?
「相手に〇〇してほしい」「相手に〇〇しないでほしい」などが出てくるかもしれません。
「私は●●したい」「私は●●したくない」などもあるでしょうね。
では、その相手に対する要望やあなたの思い、相手にシラフで伝えたことはあるでしょうか?
夫婦は【愛のタスク】
アドラー心理学では、夫婦は「愛のタスク」。友人・知人と違い、運命をともにする対人関係です。
元々は他人である夫婦が一緒に暮らし、運命をともにしていくのですから、そこに必要なことは、お互いを理解するためのコミュニケーションです。
違った環境で育ち、違う価値観をもっていることを最初のうちは楽しめていたのに、それが長い間の生活の中で異分子のように感じられ、すり合わせることをいつしかあきらめてしまいます。
でも、私も努力したけれど、全部無駄でした、相手は何も変わりませんでした、と言いたくなる人もいるかもしれませんね。
許したくない出来事、積もり積もった思いもあるかもしれません。
でも、もしかしたら、あなたの「コミュニケーション」の「方法」がその時うまくフィットしなかったという可能性があります。
ましてや、お酒の勢いを使って感情に任せて言ったことであれば、相手には「怒り」や「イライラ」という感情しか伝わっていなかった、ということもあるでしょう。
これまでのコミュニケーションは、相手が悪いわけでも、あなたが悪いわけでもなく、ただ、その「方法」がちょっとズレていただけだとしたら?
ここから始めよう
これからのコミュニケーションの仕方として、あなたの思いや希望を伝えていけるようになれたら良いですが、突然そんなことをするなんて、ちょっと難しいと感じるかもしれませんね。
伝えたところで相手に断られたりしたら、せっかく意を決して言葉にしたのに、心がくじけてしまうのが不安です。
そこで、まずはあなた一人でできることをお伝えします。
それは、「相手と仲良くする」と、決めることです。
相手にこうしてほしい、変わってほしいという要望よりも、まずは、あなたがそう決めること。
一緒に暮らしているのに、毎日顔を合わせているのに、仲良くできないという現実はお互いに辛いものです。もし、これからは一緒に暮らさないと決めているなら、仲良くできないことであなたが悩む必要はありません。
ですから、まずは「仲良くする」と決めましょう。
そして、完璧な人間はいません。誰しもが「不完全」。間違いもするし、欠点もあるのです。
不完全な人間だからこそ、お互いを補い合い、協力し合う意味があります。
それも踏まえた上で、「仲良くする」と、決めること。
それなしに、うわべだけの上手なコミュニケーションをとろうとしたり、相手にYESを言わせようとしても、なかなかうまくはいかないのです。
お酒を飲まずに伝えてみよう
仲良くする、と決めることができたら、早速アドラー流のコミュニケーションを進めていきましょう。
まずは、相手に感謝やねぎらいの気持ちをお酒を飲まずに伝えてみませんか?
ただでさえ恥ずかしいのに、シラフでなんて無理! と、シャッターを下ろさないでください。
直接言うのが難しければ、短くて軽いメッセージで構いません。
見返りや、大きな反応、相手の変化を一切期待せず、お酒を飲んでいない昼間に、あなたからスタートするのです。
そして、送った後のあなたの気持ちをシラフで味わうこと。
あなたは、あなた自身のことも、大切な相手のことも、喜ばせることができるステキな人です。